Room A
- Location
- 愛知県名古屋市
- Type
- 住居
- Floor area
- 80㎡
- Contractor
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マニカホーム
- Photo
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大熊敏佳
- Text
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名古屋市内にある築40年のマンションの一住戸を、夫婦2人と子供1人が暮らす住宅兼オフィスに改変する計画である。
1980年代初期に建てられたこのマンションは、採光条件の良い開口沿いに個室、中央にリビングキッチンを配置した「センターリビング」型のプランであった。南北に細長い専有空間を、細かく間仕切り壁で囲うことで個室が作られており、竣工当初から変わらないプランニングで住まわれてきた住戸である。その住戸を訪れ各個室の建具を開放したとき、南北に心地よい風が抜け、それぞれの個室の中で溜まっていた空気が流れ外部に接続したように感じた。南北に長い空間の隅々まで外気や採光が届くプランニングを意識するきっかけとなった。
スケルトンにした住戸に、新たに南北方向に伸びる7枚の合板壁を設えた。通風を遮らずに場所を仕切る壁である。それらの壁に洗面台やキッチンなどが付随しており、行為の基点となるよう考えた。この合板壁は通常の間仕切り壁と比較すると少し薄い。壁の表と裏でのそれぞれの行為が、壁の小口を境界にクロスカッティングされた映像のように見え、動きのある空間となることを意識した。
またキッチンなど水廻りが住戸の中央にあるプランは変えず、キッチンの南北をそれぞれプライベート(南)とパブリック(北)な場所とした。合板壁は南に向かうにつれ、白色が薄くなり素地に近くなる。住戸の南北を行き来し生活する中で、場所性がグラデーショナルに変化することを仕上げに反映させた。