さらに装飾をひもとく
- Location
- 日本橋高島屋
- Type
- 展示会場構成
- Floor area
- 53.18㎡
- Supervision
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五十嵐太郎
協力:菅野裕子
- Illustration
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宮沢洋
- Curator
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海老名熱実(高島屋史料館TOKYO)
- Contractor
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展示什器 ファインクラフト / 佐藤昌典
スタンプ台 早川真介 / 早川記録, 玉木陽祐 / たまき木工所
- Text
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日本橋高島屋史料館TOKYOにおける展示「さらに装飾をひもとく」の会場構成を担当した。展示は2024年9月から6ヶ月間に渡って開催された。展示内容は近代〜現代に至る各時代の建築が多く残り、かつ展示会場が位置する街でもある日本橋の建築を紹介するものであった。53もの建築をつぶさに観察し、それぞれの解説がパネル形式で展示される。配布物として展示された建築を見るためのマップが渡され、鑑賞者は展示を見終わったあとに日本橋の街を歩き、実物の建築を見に行くことができる。
展示レイアウトは鑑賞者が街に出るための前段階として、街を自由に歩き回るような体験を目指した。床には展示される建築がプロットされた日本橋の地図を貼り、その街区に沿うように什器を配置することで、角度をつけた配置となり、立体的な展示空間になった。天井からは首都高を模した什器を吊った。紹介される建築は6つのカテゴリに分かれており、パネルを展示する什器を6台計画した。什器はそれぞれ展示される建築を参照し、各カテゴリの特徴をもつ什器が生まれた。濃密な展示内容によって、小さな部屋に楽しげな多くの要素が集まり、上を見たり下を見たりしながら、凝視したり流したり、うろうろしては立ち止まり、そんな鑑賞体験になったのではないかと思う。
また、展示に合わせて会場である日本橋高島屋(設計 高橋貞太郎1933年竣工、増築 村野藤吾1952-73年)の館内の装飾を観察するスタンプラリーが開催され、館内各箇所に11台設置されるスタンプ台を設計した。高島屋のもつ質をまとい、展示内容とも合って、かつ現代的な軽さをもったデザインとして、無垢の木の柱頭・柱脚に、ポリカ波板の波を柱のフルーティング(溝彫)に見立てた什器を設計した。