analogue

京都リトグラフ工房

Location
京都府
Type
版画工房
Floor area
109.77㎡
Contractor
ジオテック建設
Co-architect
家入 杏
Text
リトグラフ作家である施主が倉庫兼工房として使用していた建物を、リトグラフ教室や講座が開けるようにすることを目的として改修を行った。リトグラフは専門的な機械を必要とする技法であり、制作を体験したい人や自分の作業場を持たない作家など、多数の人が利用できるような開かれた場が必要であった。敷地は嵐電の線路に面しており、既存建物は周辺住宅よりも粒が大きい平屋で、リップ溝形鋼の骨組みに波板鋼板の外皮が張られた軽快な建物であった。当初はペンキ屋の事務所として建てられ、個人の工房として一度目の改修を経ており、今回は二度目の改修となる。
既存建物は間仕切り壁によって分割されていたが、既存の間仕切り壁を下から2mカットし、ひと繋がりの空間とした。そこに制作に必要なプレス機などの大きな機械や、下絵を描いたりインクを練る作業台をリトグラフの工程順に、外部にある振動槽まで一直線に並べた。また、線路や前庭、隣接する空き地に向けて開口を大きくとったり、棚の設置や外構の整理、空調換気の整備など、解体・変更・造作の細かな取捨選択によって、この敷地の環境を、建物という媒体を介することでより鮮明に体験できるようになった。その結果、利用者には庭で集まっているようなオープンな環境となり、近隣住民や通りすがりの人には視線の抜けや作業風景を提供している。